高校 現代文 【山月記】表現にこだわり読みを深める
松山女子高校 柿崎伸夫
虎になったのは李徴の自己責任?
松山女子高校 柿崎 伸夫
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こんなもやもやが私を動かしました
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ねらい
(1)生徒に問いを立てさせながら、李徴・袁傪の生き方を考えていく
どの人物から見るかで小説の世界が変わって見える
(2)「天宝の末年」にこだわって、李徴・袁傪の生き方を考えていく
その時代の目から見ると小説の世界が変わって見える
(1)(2)の転換を「李徴の詩」をピークに考えてみました
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導入 まず問い出しからはじめました。
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展開1 虎になる前と後の李徴を考察させます。=発散キャンディチャートの真ん中にはいることを共有していきます。* =発散 すると李徴が虎になった核になる部分が浮かび上がってきます。=収束
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李徴・袁傪の経歴・キャラの相違点を確認します。
根底にあるものを確認したうえで、小説を動かすエネルギーに迫るためです。
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展開3 李徴の言葉をxyチャートで分析してみます
自己開示と自嘲、自分に向っての言葉・他者に向っての言葉と分けた一例です。
次に自分が李徴だったらどんな詩を作るか考えてみます。
この作業で展開4の「一流の詩となるのに欠けているところ」に迫る材料になります。
生徒は自分の努力不足・忍耐不足など素直に認めるもの、妻子のことに触れるものなどがありました。
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いよいよ展開4 ピークです。
「天宝の末年」にこだわってみます。
唐の玄宗→楊貴妃に溺れる・政治を顧みなくなる
楊一族に取り入らないと出世できない 腐敗した世の中
科挙の合格者を掲示する「虎榜」=「龍虎榜」について注を参照
唐の有名詩人の経歴を便覧で調べると思わぬ共通点が!
↓ 白い部分は生徒が調べたものをまとめたものです
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このことからラストシーンをもう一度読んでみます。
白いカードが生徒の答えの一部です。
最後の咆哮が力強いものであるのは、醜い姿を示して再会しようと思わないようにするためだという本文の言葉以外にもいろいろな意味が考えられる深さを体験させられないかと考えてみました。
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いよいよまとめのステップです。
このステップはグループワークを想定しています。
そもそも「山月記」は悲劇なのか?
結末を変えることができるのか?
時代の条件から結末は大きく変わらない、決して李徴は不幸ではない、いや不幸だなど
多くの意見がでました。共有の過程が反省点です。
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最後のまとめはクラゲチャートを使って発散したものを収束させてみます。
生徒の中には「腐敗した時代、李徴だってカネ・コネを使って科挙に合格したのではないか?」という鋭い指摘もありました。
小説の言葉には何一つ無駄なものはない、そこにこだわるとまったく違った世界を深読みすることができるという面白さを授業で体験させるのがねらいです。
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ちなみに考査問題は大変でした(-_-;)
共通テストのような討論形式で、一部シンキングツールを使った過程を答えさせるような出題をしました。テストになって、一問一答の問題に戻ったら絵にならないので…